お葬式に参列する際、お香典を持っていくとなると、表書きやお札の入れ方で戸惑ってしまった経験はどなたでもあるかと思います。
近頃は家族葬が多くなっており、葬儀に参列という形ではなく、事前のご焼香のみ行うスタイルが多いです。
山形では受付を親族の方がされる場合がほとんどですので、きちんとした香典袋をお渡ししたいものです。
今回はお香典の包み方や表書きの書き方に関する様々な決まりをご紹介します。
1.香典とは
そもそも香典とは?なぜ香典という名目でお金を包むのかと不思議に思われたことはありませんか?
香典のはじまりは、線香が普及する以前の日本において、関係者の持ち寄った「お香」であると言われています。
お香の煙は、故人様があの世へ向かう際の道しるべとして焚かれておりました。
煙を絶やさずに焚き続ける為には大量のお香が必要となるため、故人とゆかりのある人がお香を持ち寄っていたと言われております。
このお香が現金に形を変えて、現在のスタイルに至ります。
現在でも香典は、大切な人を亡くした遺族の状況を思いやり、金銭的に援助するためのものです。
故人や遺族に対する心配りを示すために持ち寄るものであることは、今も昔も変わりません。
遺族への気遣いや故人を弔う気持ちを大切にして香典を準備しましょう。
2.包むお金について気をつけること
新札ではなく古札で
まず、香典を包む際のお札には新札ではないものを準備するようにしましょう。
人に渡すものなので、綺麗な新札を入れたいものですが、
①この日のために準備していたような印象を与えないため
②訃報を聞いて取り急ぎ来たことを示すため
などの理由から古札を用いた方が良いとされています。
新札しかない場合には一度折り目をつけるなどして包むようにしましょう。
袋に入れるときの表と裏
お札には表と裏があります。
人物が描かれている方が表、描かれていない方が裏です。
香典袋に入れる際、お札は袋の表面(表書きが書かれる側)に対して裏を向けます。
人物を裏にすることは、お葬式において「顔を伏せる」という意味合いがあると言われています。
お札には上下も存在しますが、上下に関しては地域差もあるので、特に決まりはないとされております。
山形ではお札の人物の顔が袋の下側になるように包まれる方が多いようです。
3.宗旨・宗派別 表書きの書き方
表書きは薄墨で書きます。
これは全宗旨・宗派共通です。
薄墨には「突然の訃報で濃い墨をする時間がなかった」「悲しみの涙で墨が薄まった」などの意味が込められていると言われています。
薄墨が用意できない場合には黒色で書いても容認されますが、鉛筆やボールペンはマナー違反ですので、筆ペンもしくはサインペンなどを使用しましょう。
浄土真宗以外の仏教は【御霊前】
浄土真宗以外の仏教の場合は【御霊前】と書きます(靈→霊の旧字体)。
参列するお葬式の宗旨宗派がわからない場合など、なんと書くか迷った時はほとんど御霊前としておけば無難です。
しかし、浄土真宗やキリスト教のプロテスタントの場合は教義に背く表現のため、なるべく気をつけるようにしましょう。
浄土真宗は【御仏前・御佛前】
浄土真宗の場合は【御仏前】または【御佛前】と書きます(佛は仏の異字体で同じ意味なので、どちらで表記しても大丈夫です)。
浄土真宗においては亡くなったその日に浄土に召されて仏になるという教えがあるため、御仏前という表現をするようです。
様々な香典袋が市販されておりますが、浄土真宗においては蓮の花などがプリントされていないものを選ぶと良いでしょう。
キリスト教は【御花料】
キリスト教には主にカトリックとプロテスタントという2つの宗派がありますが、いずれの場合でも【御花料】と書けば問題ありません。
また、カトリックでは【御霊前】の表記が認められていますが、プロテスタントではこれを認めていないため、キリスト教でも宗派が分からない場合は、【御花料】と書いておくと良いでしょう。
神道は【御玉串料】
神道の場合は【御玉串料】と書きます。
玉串とは、榊の枝に紙垂しでと呼ばれる紙飾りをつけたものです。
神道では神様へ米、酒、魚、野菜などと共に玉串もお供えするのですが、誰もが玉串を急に用意することは難しいため、代わりにお金をお供えするようになりました。
この代わりのお金のことを【御玉串料】と表現します。
4.正しい香典袋の選び方
香典袋はコンビニやスーパーなどでも販売されております。
購入の際にもいくつか注意が必要です。
水引の種類
まず、水引は【結びきり】のものを選びます。
結びきりは簡単に解けない結び目であることから「一度きりであってほしい」という願いが込められています。
お祝い事にも用いられる結び方ですが、香典に使う時は【白黒・銀・白一色】といった色のものを選びましょう。
印刷されているお花の種類
蓮は仏教、百合はキリスト教のシンボルのお花なので、それが印刷されている袋も多く販売されております。
いずれも参列する宗旨・宗派によって使用する袋が変わりますので、もしはっきりとわからない場合は白無地で水引だけのものを使うのが良いでしょう。
5.まとめ
今回は香典袋にまつわるマナーをご紹介しました。
地域差もありますし、宗旨・宗派によっても様々なマナーがあります。
しかし大事なのは、遺族への気遣いや故人を弔う気持ちを大切にして香典を準備するということになってくるのでないでしょうか。
香典袋の書き方や、お金の入れ方などでお困りの際はご参考にしてみてください。